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今月の「100分de名著」はブラム・ストーカーの「ドラキュラ」。 解説の小川公代さんの切り口が素晴らしく、目からうろこ!
ブラム・ストーカーの生きた時代背景と身分を知りました。
1847年・アイルランドでプロテスタントの中流家庭に生まれる。 父親はアングロ・アイリッシュ。
アングロ・アイリッシュ、イギリスからアイルランドを支配するために移住した人とその子孫。プロテスタント。地主・支配層。
そして最近の研究から彼は結婚してはいましたが、同性愛者でもありました。
1895年・アイルランド出身のオスカー・ワイルドがロンドンで逮捕・投獄される事件がありましたが、その時、ストーカーもロンドンにいてワイルドと友人関係であったことが最近の資料から判明したそうです。
17世紀の中盤にアングロ・アイリッシュの家系に生まれるという事が何を意味するのか?
1800年の「合同法」により、アイルランドは植民地から正式にイギリスの一部になったために。
アングロ・アイリッシュ、(イギリス人)として威張っていたのに、急速に権力を失い。地主でも支配層でもなくなる。
イギリス人でもなければアイルランド人でもない!という立場になり。
人口の9割がカトリックの地でプロテスタント。
支配層として威張り散らしていた分、当然アイルランド人から苛められまくったに違いなく・・・・。
ブラム・ストーカーの少年時代を想像すると可哀想でなりません。
そして!「ドラキュラ」(1897年刊行)の前に女を狙う女吸血鬼の話「カミーラ」(1872年刊行)を書いたレ・ファニュもなんと同じアングロ・アイリッシュです!
アイルランドという地でイギリス人である事がどれほど難しいのか。
日本人として、ハワイやブラジル、その他の国々に入植した人々の苦難を想像しても、私にはうわべしか理解できないのでした。
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